構造計算ツール

もたれ式擁壁の安定計算
クーロン土圧による照査

もたれ式擁壁の転倒・滑動・地盤支持力の安定照査を自動計算します。
クーロン土圧理論に準拠した土木実務向けの無料計算ツールです。

📐 クーロン土圧 ⚡ 3照査を同時実行 📋 計算過程を表示
📖 使用手順
1

擁壁形状を入力高さ・天端幅・前背面勾配を入力

2

土砂条件を入力単位重量・内部摩擦角などを入力

3

地盤条件を入力底面摩擦係数・許容支持力を入力

4

計算ボタンを押す転倒・滑動・支持力を一括照査

📐 断面図・記号の定義
もたれ式擁壁の断面図
⚙️
計算条件の入力
① 擁壁の形状
m
m
鉛直:水平 = 1:x1
鉛直:水平 = 1:x2
② 背面地盤の条件
kN/m³
°
③ 基礎地盤の条件
(-)
kN/m²
⚙ 詳細設定(壁面摩擦角・地表面勾配・上載荷重・粘着力・擁壁単位体積重量)
kN/m³
° (目安:φ/2 ~ 2φ/3)
kN/m² (砂質土は通常 0)
° (水平の場合は 0)
kN/m² (なければ 0)

📊 計算結果の総括

照査項目 計算値 基準値 判定

🔍 計算過程の確認

Tool Guide

機能紹介・注意事項

📐

クーロン土圧に対応

壁面摩擦角・地表面勾配・内部摩擦角を考慮したクーロン式で主働土圧係数を算出します。

🔍

3項目を同時に照査

転倒・滑動・地盤支持力の3つの照査を同時に実行し、総合判定を表示します。

📋

計算過程を確認可能

土圧合力・自重・偏心量など、途中の計算過程を展開して確認できます。

【注意事項】
・本ツールはもたれ式擁壁(重力式に近い形式)を対象とした参考計算です。
・転倒に対する安全率は e ≦ B/6 で照査しています(基礎底面全面圧縮の確認)。
・滑動に対する安全率は Fs ≧ 1.5 を基準としています。
・地震時の検討・水平力・浮力などは考慮していません。
・実際の設計は設計基準に基づき、必ず専門家が確認してください。
・本ツールの利用によって生じたいかなる損害についても、当サイトは責任を負いません。

Glossary

用語集

もたれ式擁壁の安定計算で登場する主要な用語を解説します。

① 構造・形状に関する用語
もたれ式擁壁
もたれ式擁壁とは、背面の地山や盛土にもたれかかるように設置する擁壁の形式です。重力式擁壁と比べて本体の断面が薄く、コンクリート使用量を抑えられるため、比較的高い擁壁(一般的に3〜8m程度)に適しています。前面は急勾配(1:0.3程度)、背面はほぼ鉛直〜緩勾配(1:0.1程度)の形状が標準的です。地山が安定していることが前提条件となるため、軟弱地盤には不向きです。道路や造成工事で広く採用されており、施工性・経済性に優れた擁壁工法のひとつです。
天端幅(B1)
擁壁上部(天端)の水平幅のことです。もたれ式擁壁では、施工性や最低限の構造厚さを確保するため、一般的に0.4〜0.6m程度が用いられます。天端幅が極端に小さいと施工が困難になり、大きすぎるとコンクリート量が増えてコストが上昇します。設計では構造上の安定性と経済性のバランスを考慮して決定します。
底版幅(B2)
擁壁下部(基礎底面)の水平幅のことです。底版幅は擁壁の高さや背面土圧の大きさに応じて決まり、転倒・滑動・支持力の3つの安定照査をすべて満足するよう設定します。一般的に擁壁高さHの0.5〜0.7倍程度が目安となります。底版幅が不足すると転倒や滑動に対して安全率が確保できず、過大にするとコスト増につながります。
前面勾配・背面勾配
擁壁の前面(道路側)と背面(土砂側)の傾斜を表す値で、鉛直:水平=1:x で表記します。もたれ式擁壁では前面勾配のx1が0.3程度(急勾配)、背面勾配のx2が0.1程度(ほぼ鉛直)が標準です。勾配によって擁壁断面の形状が決まり、自重や重心位置の計算に影響します。前面を急勾配にすることで擁壁の自重を大きくし、安定性を確保する設計思想です。
② 土圧に関する用語
クーロン土圧理論
18世紀にフランスの技術者クーロンが提案した土圧算定理論です。背面地盤が崩壊するときに形成される「すべり面」が平面であると仮定し、そのすべり面上の力の釣り合いから土圧を求めます。壁面摩擦角δや地表面勾配β、壁面の傾斜角αを考慮できるため、実務上の擁壁設計で広く用いられています。ランキン土圧理論と並ぶ代表的な土圧理論であり、日本の道路土工指針でも採用されています。
主働土圧・主働土圧係数(Ka)
主働土圧とは、擁壁が土砂から押される方向(前面側)に変位するときに作用する土圧のことです。土が崩壊しようとする状態に対応しており、受働土圧より小さい値になります。主働土圧係数Kaは土圧の大きさを決める無次元の係数で、内部摩擦角φ・壁面摩擦角δ・地表面勾配β・壁面勾配αによって決まります。Kaが小さいほど土圧は小さくなり、設計上有利になります。
土圧合力(Pa)・水平成分(Pah)・鉛直成分(Pav)
背面地盤から擁壁背面に作用する合計の力が土圧合力Paです。Paは壁面摩擦角δだけ水平から傾いた方向に作用し、底面からH/3の高さが作用点となります(等分布土圧の場合)。これを水平方向に分解したものがPah(水平成分)、鉛直方向に分解したものがPav(鉛直成分)です。Pahが滑動照査に、PavとPahが転倒照査・支持力照査にそれぞれ影響します。
壁面摩擦角(δ)
擁壁背面と背面地盤の間に生じる摩擦の角度のことです。δが大きいほど土圧合力が鉛直方向成分を多く持ち、水平成分(滑動力)が小さくなるため、擁壁の安定上有利に働きます。一般的にδ=φ/2〜2φ/3の範囲で設定されます。コンクリート壁面と砂質土の場合、δ=15〜25°程度が実務でよく使われる値です。
地表面勾配(β)
擁壁背面の地表面(盛土面・地山面)の傾斜角です。β=0°は水平地盤を意味し、βが大きいほど(地表が傾斜しているほど)土圧が増大します。βは内部摩擦角φを超えることはできません(それ以上の傾斜では地盤が自立しないため)。道路の切土・盛土の条件によって異なり、設計時には実際の地形に合わせて設定します。
③ 地盤・土質に関する用語
単位体積重量(γ)
土1m³あたりの重さのことで、土圧や自重の計算に使用します。背面地盤の単位体積重量γeは土の種類によって異なり、砂質土で17〜19 kN/m³、砂礫で19〜21 kN/m³程度が一般的な値です。また擁壁本体のコンクリートの単位体積重量γcは23〜24 kN/m³が標準です。この値が土圧合力の大きさに直接影響するため、地盤調査結果や土質試験から適切な値を設定することが重要です。
内部摩擦角(φ)
土のせん断強度を表す指標のひとつで、土粒子間の摩擦の大きさを角度で表したものです。φが大きいほど土は安定しており、主働土圧係数Kaが小さくなるため擁壁に作用する土圧が小さくなります。砂質土では25〜40°程度が一般的な範囲です。粒径が大きく密に詰まった砂礫ほどφは大きくなります。設計では土質試験(三軸圧縮試験・せん断試験)や標準的な参考値を用います。
粘着力(c)・上載荷重(q)
粘着力cは粘性土が持つせん断強度の成分で、土粒子間の結合力を表します。砂質土ではc=0が基本です。粘着力を考慮すると土圧が減少する方向に働きますが、実務では安全側の評価としてc=0で計算することが多いです。上載荷重qは地表面に作用する等分布荷重で、道路や建物の荷重を想定します。qが大きいほど土圧が増大するため、周辺の利用状況に応じて設定します。
④ 安定照査に関する用語
転倒に対する安定照査・偏心量(e)
擁壁が土圧によって前面側に回転・転倒しないかを確認する照査です。基礎底面に作用する合力の作用点が底面中央からどれだけずれているかを偏心量eで表し、e≦B2/6(底版幅の1/6以内)であれば底面全体が圧縮応力となり、転倒に対して安全と判定します。偏心量が大きいと底面の一部が引張状態になり、地盤との離間が生じるリスクがあります。
滑動に対する安定照査・安全率(Fs)
擁壁が土圧の水平成分Pahによって水平方向に滑り動かないかを確認する照査です。底面と地盤の間の摩擦力(垂直力×底面摩擦係数μ)が滑動力Pahに対してどれだけ余裕があるかを安全率Fsで表します。Fs=(W+Pav)×μ÷Pah≧1.5が一般的な判定基準です。安全率が不足する場合は底版幅を広げるか、底面に突起(せん断キー)を設けて抵抗力を増加させます。
地盤の支持力照査
擁壁の自重と土圧が基礎地盤に伝わる接地圧が、地盤の許容支持力qa以内であることを確認する照査です。偏心荷重を考慮した最大接地圧q1(前面側)と最小接地圧q2(背面側)を算出し、q1≦qaを確認します。許容支持力qaは地盤調査(平板載荷試験・N値など)から設定します。支持力が不足する場合は底版幅の拡大や地盤改良が必要になります。