鋼構造・溶接計算ツール

完全溶込み溶接強度照査ツール
開先溶接継手を自動照査

設計手法(許容応力度設計法/限界状態設計法)と設計基準を切り替えて、完全溶込み開先溶接継手の引張・せん断・合成応力を自動で照査します。

🔧 ASD/LSD両対応 📐 道路・鉄道基準切替 🖼️ 開先断面図を自動描画 ⚡ 計算過程を表示
📖 使用手順
1

設計手法を選択許容応力度設計法/限界状態設計法を選びます

2

設計基準を選択道路・鉄道など使用基準を切り替えます

3

溶接条件を入力開先形状・板厚・溶接長さ・荷重・鋼種を入力します

4

計算ボタンを押す応力度と検定比が自動で照査されます

5

結果を確認判定・根拠・計算過程を確認します

🔧
溶接条件の入力・照査

入力条件

設計手法
設計基準
簡易断面図(板厚に応じて縮尺自動調整)。完全溶込み溶接ののど厚は開先形状によらず板厚 t です。

計算結果

条件を入力して「計算実行」を押してください。
Tool Guide

機能紹介・使用上の注意

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のど厚の考え方

完全溶込み開先溶接の有効のど厚は、開先形状(V・X・K・レ形)によらず母材の板厚 t と等しく扱います。板厚が異なる継手では薄い方の板厚を採用します。溶接有効断面積は A = t × l(有効長さ)で算定します。

🔧

2つの設計手法に対応

許容応力度設計法(応力度 ≦ 許容応力度)と限界状態設計法(γi・Pd/Pud ≦ 1.0)を切り替えできます。手法ごとに照査式・許容値・係数が自動で切り替わり、合成応力の照査も併せて行います。

⚠️

適用条件・留意事項

内蔵の許容応力度は板厚40mm以下・工場溶接の値です。板厚が40mmを超える場合や現場溶接の場合は低減が必要です。限界状態設計法は適用範囲 t≦75mm、入力断面力は荷重係数等を考慮した設計値として扱います。

【注意事項】
・本ツールは参考計算を目的としており、設計への直接適用には最新の基準原本および発注者の設計要領による確認・技術者による判断が必要です。
・完全溶込み開先溶接の許容応力度は、母材と同等以上の強度をもつ溶着金属を用いることを前提として、母材と同じ値としています。部分溶込み溶接・すみ肉溶接には適用できません。
・許容応力度設計法の内蔵値は板厚40mm以下・工場溶接の値です。現場溶接は工場溶接の90%が原則(鉄道)など、基準により低減規定があります。
・限界状態設計法では入力した軸方向力・せん断力を荷重係数等考慮済みの「設計値」として扱います。部材係数γb・構造物係数γi・材料係数γs は基準の一般値を用いています。
・本ツールの利用によって生じたいかなる損害についても、当サイトは責任を負いません。

Glossary

用語解説

本ツールで使用している専門用語を、溶接設計実務の参考としてまとめました。

A. 溶接継手・開先に関する用語
完全溶込み溶接(完全溶込み開先溶接)
開先(グルーブ)を設けた継手で、板厚の全断面にわたって溶着金属を溶け込ませる溶接。母材と同等以上の強度をもつ溶着金属を用いれば、継手の許容応力度を母材と等しく扱える。橋梁の主要部材の突合せ継手など、高い強度・信頼性が求められる箇所に用いられる。部分溶込み溶接やすみ肉溶接とは照査方法が異なる。
開先(グルーブ)
溶接のために母材の端部に設ける溝の形状。本ツールではV形・X形・K形・レ形を選択できる。完全溶込み溶接では、開先形状にかかわらず有効のど厚は母材板厚 t と等しくなるため、形状は施工性や変形管理の観点で選定する。
のど厚 a
溶接部の強度計算上、有効に働く溶接の厚さ。完全溶込み開先溶接では のど厚 a=板厚 t(板厚が異なる場合は薄い方)として扱う。すみ肉溶接ではサイズから換算した値を用いる点が異なる。
有効長さ l
溶接部のうち強度計算に算入できる長さ。クレーターやビード端部の欠陥が生じやすい始終端を除いた有効な溶接長さを指す。溶接有効断面積 A はのど厚 a と有効長さ l の積(A=a×l)で求める。
溶接有効断面積 A
溶接継手が荷重を負担する断面積。完全溶込み溶接では A=t×l(板厚×有効長さ)で算定し、応力度σ・τを求める基礎となる。
B. 応力・照査に関する用語
引張・圧縮応力度 σ
溶接線に直角方向に作用する軸方向力 N を溶接有効断面積 A で除した値(σ=N/A)。完全溶込み溶接では引張・圧縮で同じ許容応力度を用いる。単位は N/mm²。
せん断応力度 τ
溶接線方向に作用するせん断力 Q を溶接有効断面積 A で除した値(τ=Q/A)。引張・圧縮とは別に許容せん断応力度 τa と照査する。単位は N/mm²。
合成応力の照査
軸方向応力とせん断応力が同時に作用する場合に、両者を組み合わせて行う照査。本ツールでは基準に応じて (σ/σa)²+(τ/τa)² ≦ 1.2、または √{(σ/σa)²+(τ/τa)²} ≦ 1.1 の形で判定する。個別の照査がOKでも合成照査でNGになる場合がある。
検定比
作用応力(または作用断面力)を許容値(または設計耐力)で除した比。1.0(合成照査では許容限度)以下であれば安全側と判断する。本ツールでは引張・せん断・合成の各検定比の最大値を総合判定に用いる。
C. 許容応力度設計法(ASD)に関する用語
許容応力度設計法(ASD)
作用応力度が許容応力度以下であることを確認する設計法。「σ ≦ σa」「τ ≦ τa」を満たすかで判定する、従来から広く用いられてきた手法。本ツールでは道路橋示方書(許容応力度設計法の体系)と国鉄昭和58年版 鋼鉄道橋の基準を切り替えられる。
許容引張・圧縮応力度 σa/許容せん断応力度 τa
各鋼種・基準で定められた許容応力度。完全溶込み開先溶接の値は母材と同じ値を用いる。例として道路橋示方書ではSS400で σa=140、τa=80 N/mm²(板厚40mm以下・工場溶接)。基準・鋼種・板厚区分により値が異なる。
工場溶接・現場溶接
溶接施工の場所による区分。品質管理のしやすさから、現場溶接は工場溶接より許容応力度を低減する規定がある(鉄道では現場溶接は工場溶接の90%が原則)。本ツールの内蔵値は工場溶接を前提としている。
D. 限界状態設計法(LSD)に関する用語
限界状態設計法(LSD)
各種の安全係数(部分係数)を用いて、設計断面力が設計耐力を下回ること(γi・Pd/Pud ≦ 1.0)を確認する設計法。鉄道構造物等設計標準・同解説(鋼・合成構造物)令和6年版などで採用されている。本ツールでは入力する断面力を荷重係数等考慮済みの設計値として扱う。
降伏強度の特性値 fsyk・fsvyk
構造用鋼材の引張降伏強度(fsyk)およびせん断降伏強度(fsvyk)の特性値。鋼種と板厚区分(t≦16/16〜40/40〜75)ごとに定められる。これを材料係数γsで除して設計降伏強度 fsyd・fsvyd を求める。
設計耐力 Nud・Qud
溶接継手が安全に負担できる軸方向・せん断方向の耐力。完全溶込み開先溶接では Pjud=(fsyd・Σa·l)/γb の形で算定し、部材係数γbで除して求める。設計断面力との比で照査する。
部材係数γb・構造物係数γi・材料係数γs
限界状態設計法で用いる部分安全係数。材料係数γsは材料強度のばらつき、部材係数γbは耐力算定式の精度、構造物係数γiは構造物の重要度に応じた割増しを表す。本ツールではR6年版の一般値(γb=1.05・γi=1.2・γs=1.05)を用いている。
E. 鋼種・設計基準に関する用語
SS400・SM490・SMA490
橋梁・鋼構造で用いられる代表的な構造用鋼材。SS400は一般構造用圧延鋼材、SM490は溶接構造用圧延鋼材(強度が高い)、SMA490は溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材(耐候性に優れる)。許容応力度・降伏強度は鋼種ごとに異なる。
道路橋示方書・同解説 Ⅱ鋼橋編
道路橋の設計に用いる基準。許容応力度設計法の体系では完全溶込み開先溶接(工場溶接)の許容応力度を母材と同じ値とする。平成29年版以降は部分係数設計法へ移行している。
鋼鉄道橋設計標準(国鉄 昭和58年版)/鉄道構造物等設計標準(令和6年版)
鉄道橋の設計に用いる基準。昭和58年版は許容応力度設計法(原典値はkgf/cm²表記でSI換算が必要)、令和6年版は限界状態設計法(部分係数)を採用している。本ツールではこの両者を設計手法の切替に対応させている。
板厚区分
同じ鋼種でも板厚が増すと降伏強度が低下するため、t≦16・16〜40・40〜75(mm)などの区分ごとに強度を定める考え方。限界状態設計法では入力板厚から区分を自動判定する。

【注意事項】
本解説は概略理解を目的としたものです。実際の設計では各設計基準の原文を必ず参照し、技術者による最終判断を行ってください。