河川の設計
堤防・護岸・河川構造物の設計基準
河川管理施設などの設計に関する国の技術基準です。堤防・護岸・水制・床止めなどの河川構造物のほか、ダム・砂防・地すべり・急傾斜地・海岸などの施設の設計方針も扱っており、河川設計に関わるすべての業務で参照する基本書です。国土交通省のウェブサイトから無料で参照できます。
最新情報:章ごとに随時改定されています(河川構造物の章は令和7年6月と令和8年1月に改定)。河川の計画の考え方は、設計編ではなく次の「計画編」に収められています。
護岸の設計で用いる力学的な考え方と、設計の手順を解説した資料です。護岸工の設計で「どの式を使うか」「安全率をどう設定するか」を確認するために参照します。
河川改修事業の費用便益分析(B/C)を算出するためのマニュアル。治水事業の費用対効果の計算方法・被害額の推計方法が記載されており、河川改修事業の事業評価・計画段階で参照する。
最新情報:洪水被害額の算定に使う資産単価などは、毎年度改正されます。最新の通知を国土交通省のページで確認してください。
水理設計・洪水解析
計画・洪水流量・ダム・耐震の基準
河川の計画規模の設定・設計洪水流量の算定方法・流量規模の設定根拠が記載された計画編。基本高水流量の設定・河道計画・流域の水文解析で参照する基本書。治水計画を策定するすべての業務で参照する。
最新情報:旧名称の「建設省河川砂防技術基準(案)同解説」は、現在は「河川砂防技術基準 計画編」として、基本計画編と施設配置等計画編に分かれています。
国土交通省が管理するダムの設計に関する基準です。ダム本体の構造設計・洪水吐の水理設計・基礎処理などの考え方は、河川砂防技術基準 設計編のダムの章に示されています。ダム・堰の施設については、「ダム・堰施設技術基準(案)」が別に定められています。
最新情報:「ダム設計基準」(日本大ダム会議、昭和32年制定)は、国土交通省の基準ではありません。
河川堤防・水門・樋門・排水機場など河川構造物の耐震設計・耐震照査に関する指針です。平成24年2月の初版以降、改訂を重ねており、重要河川構造物の耐震対策設計・耐震診断で参照します。
最新情報:本文は平成24年2月、平成28年3月、令和2年2月、令和6年3月に改訂されています。揚排水機場編は令和6年3月、水門・樋門及び堰編は令和2年2月が最新です。
海岸・港湾
海岸保全・防波堤・護岸の設計基準
海岸堤防・離岸堤・突堤・護岸などの海岸保全施設の設計基準。波力・波高の設定・海岸施設の安定計算方法が記載されており、海岸保全施設の設計・改良・老朽化対策に関わる業務で参照する。
防波堤・岸壁・桟橋・物揚場などの港湾施設設計基準(通称「港湾技術基準」)。波力・土圧・地震力の算定・矢板・重力式岸壁の設計方法が記載されており、港湾施設の設計全般で必参となる一冊。
最新情報:平成30年5月版に、令和5年4月と令和6年4月の改訂が続いています。
海岸保全施設の点検・評価・維持管理の考え方をまとめたマニュアルです。農林水産省(農村振興局防災課・水産庁防災漁村課)が示しています。海岸保全施設の技術上の基準と合わせて、長寿命化や補修の検討で参照します。
砂防・急傾斜地対策
土石流・砂防堰堤・急傾斜地の設計基準
土石流・流木対策のための砂防計画の指針です。土石流の流出土砂量や流木の量の算定など、計画の考え方が記載されています。砂防堰堤そのものの構造設計は、次の「土石流・流木対策設計技術指針」で扱われます。
砂防堰堤など、土石流・流木対策施設の設計の考え方をまとめた指針です。砂防基本計画策定指針(土石流・流木対策編)と同時に改定されています。透過型・不透過型砂防堰堤の設計や、土石流力の算定など、構造設計で参照します。
急傾斜地(がけ崩れ)対策施設の設計に関する国の基準です。擁壁・のり枠・アンカー工・排水工などの対策工の設計方針は、河川砂防技術基準 設計編の急傾斜地崩壊防止施設の章に示されています。
基準書の使い分けガイド
河川の基準が関わる場面と、その進め方
河川に関わる設計では、河川そのものを設計する場合と、道路・下水道・鉄道などが河川を横断する場合とで、考え方が変わります。
1. 河川を設計する場合は、河川管理者の基準が基本
堤防・護岸などの河川構造物は、河川砂防技術基準を基本に設計します。港湾・海岸の施設は、河川とは別の基準(港湾の施設の技術上の基準、海岸保全施設の技術上の基準)が基本になります。
2. 道路や上下水道が河川を横断する場合
設計する道路や上下水道が河川を横断する場合、新設構造物そのものは発注元の財産でも、施工する場所は河川管理者が管理する河川区域です。このため、河川管理者の基準や許可が関わります。
- 河川区域内で工作物を新築・改築・除却する場合は、河川管理者の許可が必要です(河川法第26条)。
- 河川敷を占用する場合は、別に占用の許可が必要です(河川法第24条)。
- 橋・堰・水門・樋門などは、河川管理施設等構造令の規定が許可工作物にも準用されます。
- 堤防を横断する工作物などは、完成後に完成検査が必要です(河川法第30条)。
手続きの概要は、国土交通省の河川敷地の利用に関するページで確認できます。個別の技術基準や手引きは、河川管理者(国・都道府県・市町村)ごとに異なる場合があります。
3. 基準は、勝手に決めずに発注者と協議する
どの基準を使うかは、設計者が自分で決めるものではありません。特記仕様書などで指定されていることも多いのですが、指定がない場合や、複数の基準にまたがる場合は、発注者と協議して決めます。協議で決まった内容は、打合せ記録に残しておくと、後からの手戻りを防げます。
4. 業務は、基準を決めるところから始める
設計業務は、まず「設計基準を決める」ところから始めましょう。管理者は誰か、他の管理者の用地や施設に関わらないか、基準書の名前と版は何か、基準が複数ある場合の優先順位はどうするか、を最初に確認しておくと安心です。