下水道の設計
下水道管渠・処理場・ポンプ場・管路更生・耐震の基準
下水道設計全般の基本指針です。管渠の水理設計(マニング式による流量計算・管径の決定)・処理区域の設定・ポンプ場計画まで体系的に解説されており、下水道設計に関わるすべての業務で参照する基本書です。前編・後編の2分冊になっています。
老朽化した下水道管路を、掘り返さずに更生する工法(形成工法・製管工法など)の設計と施工管理の考え方を示したガイドラインです。2017年版の改定で、対象がマンホールの更生や取付管の更生にも拡大されています。更生工法の選定や設計条件の設定で参照します。
最新情報:2026年7月に発刊されたばかりの版です。自治体の仕様書でどの版を指定しているか確認してください。
下水道施設の耐震設計・耐震診断・耐震対策に関する指針です。管渠・マンホール・処理場の耐震照査方法と対策工の設計が記載されており、耐震補強設計や耐震診断業務で参照します。2014年版の改訂版で、能登半島地震の教訓も反映されています。
最新情報:自治体の設計指針には、2014年版に準拠したものがあります(例:千葉市下水道設計指針 令和4年4月)。2025年版への切り替わりは自治体ごとに異なるため、指定された版を確認してください。
上水道の設計
水道管路・浄水場・配水池の設計基準
水道施設設計の基本指針。水源計画・導水・浄水・送配水・給水に至る水道システム全体の設計方針が記載されている。管径・流速・水圧の設定、浄水場・配水池・ポンプ場の設計で参照する基本書。
最新情報:2012年版の改訂版です(約12年ぶりの改訂)。
水道施設の耐震設計・耐震診断に関する指針。管路・配水池・ポンプ場の耐震照査方法と液状化対策・耐震継手管の選定基準が記載されており、耐震補強計画・更新工事で参照する。
水道施設の維持管理・点検・修繕に関する指針。管路の劣化診断・漏水調査・施設の健全度評価方法が記載されており、アセットマネジメント計画や更新計画の立案で参照する。
最新情報:国土交通省の「水道施設の点検を含む維持・修繕の実施に関するガイドライン」は令和5年3月に改訂されています。
管路・構造設計
埋設管・推進工・開削工の構造設計基準
非開削(推進工法)による下水道管路の調査・設計・施工に関する指針です。泥水式・土圧式・オーガ式などの工法選定・推進管の構造設計・土留め計画で参照します。道路下や鉄道下の横断工事で特に参照頻度が高い指針です。
ご注意:発行から15年以上たっています。改訂の有無は日本下水道協会のページで確認してください。
水道で広く使われているダクタイル鉄管の管路について、設計・施工の考え方をまとめた手引きです。管の種類・継手形式・布設方法・防食対策などを確認するときに参照します。
下水道管路工事(開削工法)の設計・積算の要領書です。開削工事の施工方法や仮設工などが記載されており、設計図書の作成・工事費の積算で参照します。
最新情報:管路施設の積算要領は工法別に分かれており、推進工法編(2014年版)、管きょ更生工法編(2012年版)、シールド工法編(2010年版)もあります。
排水・雨水対策
雨水管渠・浸水対策・合流改善の基準
都市の雨水管理(浸水対策・流出抑制など)の総合的な計画を立てる手順を示したガイドライン(案)です。計画降雨の設定・流出解析・貯留浸透施設の計画などを検討するときに参照します。近年の気候変動への対応(内水氾濫対策)でも参照される機会が増えています。
合流式下水道における雨天時越流水(CSO)対策の指針。合流改善施設(貯留管・遮集管)の設計方法・水質改善対策が記載されており、合流式下水道の改善計画で参照する。
基準書の使い分けガイド
上下水道の基準は、管理者の設計指針と、他の管理者との協議で決まる
上下水道の設計では、国や協会の指針がそのまま使われるとは限りません。発注する自治体や事業体ごとに設計指針を定めていることが多く、どの版を使うかも指定されます。
1. 基本は、発注元(管理者)の基準
自治体の上下水道担当部署からの発注であれば、上下水道系の基準を使うのが基本です。自治体の設計指針は、日本下水道協会・日本水道協会の指針に準拠して作られていることが多く、準拠している版が古い場合もあります。たとえば千葉市下水道設計指針(令和4年4月)は、日本下水道協会の2019年版の設計指針と、2014年版の耐震対策指針に準拠しています。
2. 他の管理者の用地・施設を横断する場合
設計する上下水道の管路が、線路・河川・道路の下を横断する場合は、新設構造物そのものは発注元の財産でも、施工する場所は別の管理者の用地です。このため、その管理者の基準が優先され、事前の協議や許可が必要になります。
- 線路の下:まず鉄道の基準に準拠し、鉄道管理者と協議します(鉄道設計の設計基準・示方書一覧)。
- 河川:河川区域内の工作物の設置には、河川管理者の許可が必要です(河川・海岸の設計基準・示方書一覧)。
- 道路の下:道路管理者の占用許可が必要で、道路管理者の基準にも従います(道路・舗装の設計基準・示方書一覧)。
3. 水道行政の移管にも注意
水道の整備・管理に関する行政は、令和6年4月に厚生労働省から国土交通省へ移管されました(水質基準の策定などは環境省)。古い資料では担当省庁が厚生労働省になっていることがあるため、最新の情報を各省庁のページで確認してください。
4. 基準は、勝手に決めずに発注者と協議する
どの基準を使うかは、設計者が自分で決めるものではありません。特記仕様書などで指定されていることも多いのですが、指定がない場合や、複数の基準にまたがる場合は、発注者と協議して決めます。協議で決まった内容は、打合せ記録に残しておくと、後からの手戻りを防げます。
5. 業務は、基準を決めるところから始める
設計業務は、まず「設計基準を決める」ところから始めましょう。管理者は誰か、他の管理者の用地や施設に関わらないか、基準書の名前と版は何か、基準が複数ある場合の優先順位はどうするか、を最初に確認しておくと安心です。