道路の設計
道路の計画・線形・横断構成・道路土工に関する基準
道路の設計基準の根幹となる政令(道路構造令)の解説書。車線幅員・建築限界・曲線半径・縦断勾配・視距など道路の幾何構造の基準値と、その運用の考え方が記載されています。道路設計に関わるほぼすべての業務で起点になる基本書です。
切土・盛土・カルバート・擁壁などの「道路土工構造物」について、計画・設計・施工・維持管理の基本的な考え方を定めた技術基準です。個別の指針(切土工・斜面安定工、盛土工、カルバート工、擁壁工、軟弱地盤対策工)の上位にあたります。
最新情報:令和7年に改訂版(令和7年11月)が発行されています。発注者の仕様書でどの版を使うよう指定されているか、業務の着手時に確認してください。
平面交差点の計画・設計の手順、右折レーン・導流路・視距の確保の考え方、自転車通行空間の取り入れ方をまとめた手引です。交差点の改良や、新設道路で交差点を設計するときに参照します。発行元は日本道路協会ではなく交通工学研究会です。
舗装設計
アスファルト舗装・コンクリート舗装の設計基準
舗装の設計・施工の基本指針です。舗装の構成(表層・基層・上層路盤・下層路盤・路床)、交通量区分と設計期間の考え方、舗装厚の決定方法が記載されています。具体的な厚さの計算手順は、同じ平成18年版の「舗装設計便覧」と併せて使うのが一般的です。
最新情報:舗装の技術基準が令和8年9月30日に改正・改定され、令和9年4月1日以降に新たに着手する設計に適用されます(下の「舗装の構造に関する技術基準」を参照)。指針類もこれに合わせて見直される可能性があるため、発注者の指示を確認してください。
コンクリート舗装の設計・材料・施工・維持管理をまとめた技術書です。スラブ厚の決定、目地の設計、コンクリートの配合、養生などの考え方が記載されており、重交通路線や、耐久性が求められる箇所のコンクリート舗装を検討するときに参照します。
舗装の構造について「どのような性能が必要か」を定めた技術基準の解説書です。舗装設計施工指針の考え方の根拠となる基準で、設計の前提条件や、新しい材料・工法を使う場合の設計根拠を確認するときに参照します。
最新情報:国土交通省は令和8年9月30日に「車道及び側帯の舗装の構造の基準に関する省令」を改正し、「舗装の構造に関する技術基準」を改定しました。約25年ぶりの改定で、令和9年4月1日以降に新たに着手する道路舗装の設計から適用されます。上に示した2001年版の解説書は、この改定前の内容です。
道路排水・附属施設
側溝・排水・防護柵・標識の設計基準
道路土工全般の基本的な考え方をまとめた要綱で、側溝・集水桝・横断排水・のり面排水など、道路排水の計画・設計の基本もこの要綱に収められています。排水断面の水理計算(マニング式)、側溝形式の選定、集水面積の考え方を確認するときに参照します。
最新情報:かつて使われていた「道路土工―排水工指針(昭和62年)」は、現在の日本道路協会の出版一覧には独立した図書として載っていません。自治体の設計要領で旧指針が引用されている場合もあるので、どの図書に基づくか発注者に確認してください。
ガードレール・ガードケーブル・ガードパイプなどの防護柵と、ボラードの設置基準をまとめた図書です。路外逸脱の防止、歩行者などの保護、設置位置・設置区間・形式の選定の考え方が記載されており、新設道路の設計や既設道路の安全対策の検討で参照します。
道路標識の種類・配置・設置位置の基準が「道路標識設置基準・同解説(改訂版)」です。標識の支柱や基礎の構造計算は、同じく令和2年6月発行の「道路標識構造便覧」で扱われます。新設道路や改良工事での標識設計、老朽化した標識の更新設計で使い分けて参照します。
トンネル・法面対策
道路トンネル・切土のり面・カルバートの設計基準
道路トンネルの計画・調査・設計・施工・維持に関する構造面の技術基準で、主に山岳工法(NATM)による道路トンネルを対象としています。換気、非常用施設、維持管理は別の図書(道路トンネル技術基準(換気編)平成20年改訂版、道路トンネル非常用施設設置基準・同解説 令和元年9月改訂版、道路トンネル維持管理便覧(本体工編)令和2年版)で扱われるため、業務内容に応じて併用します。
道路の切土のり面の設計と、斜面の安定対策の指針です。切土のり面勾配の考え方、植生工・モルタル吹付・コンクリート吹付・のり枠工・アンカー工などの保護工・対策工の選定基準が記載されています。盛土のり面については「道路土工―盛土工指針(平成22年度版)」を参照します。
ボックスカルバート・パイプカルバートなど、道路下を横断する構造物の設計・施工の指針です。土被り・活荷重・土圧を考慮した断面設計や、プレキャストカルバートの選定の考え方が記載されており、横断排水構造物や通路ボックスの設計で参照します。
基準書の使い分けガイド
「どの基準を使うか」は、設計に入る前に決めておくこと
設計基準は、何を設計するのか、そしてどこが管理する構造物をつくるのかによって、使う基準書が変わります。同じ道路や水路の設計でも、発注元が違えば基準が違うことがあります。ここでは、実務で基準書を選ぶときの考え方を整理します。
1. 基本は、発注元(管理者)の基準
自治体の道路担当部署からの発注であれば、道路系の基準を使うのが基本です。同じように、上下水道担当部署からの発注であれば、上下水道系の基準を使うのが基本です。完成した構造物は、その管理者が維持管理していくため、管理者の基準で設計するのが前提になります。
2. 線路の下を横断する場合は、鉄道の基準が先
設計する道路や上下水道の管路が線路の下を横断する場合は、まず鉄道の基準に準拠します。新しくつくる構造物そのものは発注元の財産ですが、施工する場所は、別の基準をもつ鉄道管理者の用地の下です。このため、鉄道管理者の基準が優先されます。鉄道系の基準書は鉄道設計の設計基準・示方書一覧にまとめています。
河川を横断する場合の河川管理者など、他の管理者の用地や施設に関わる場合も、考え方は同じです(河川・海岸の設計基準・示方書一覧)。
3. 基準は、勝手に決めずに発注者と協議する
どの基準を使うかは、設計者が自分で決めるものではありません。特記仕様書などで指定されていることも多いのですが、指定がない場合や、複数の基準にまたがる場合は、発注者と協議して決めます。協議で決まった内容は、打合せ記録に残しておくと、後からの手戻りを防げます。
4. 業務は、基準を決めるところから始める
設計業務は、まず「設計基準を決める」ところから始めましょう。着手時には、次の点を確認しておくと安心です。
- 管理者は誰か:発注者と、完成後に管理する部署は同じか。
- 他の管理者の用地・施設に関わるか:線路下・河川・他の道路などを横断・近接しないか。
- 基準書の名前と版:改訂直後は特に、どの版を使うかを確認する。
- 基準が複数ある場合の優先順位:発注者と協議して決める。
基準書の版が切り替わる時期は、特に注意が必要です。たとえば、舗装の技術基準は令和9年4月1日以降に新たに着手する設計から改定後の内容が適用され、道路土工構造物技術基準は令和7年に改訂版が発行されています。「いつ着手した業務か」で、使う基準が変わることがあります。