「技術士二次試験を受けてみたいけど、どんな試験なのかよくわからない」「土質及び基礎ってどんなテーマが出るの?」そんな疑問をお持ちの方に向けて、技術士二次試験(建設部門・土質及び基礎)の概要から頻出テーマ・対策ポイントまでをまとめました。
2026年度(令和8年度)の筆記試験は7月20日(月・祝)に実施されます。これから勉強を始める方も、直前対策をしたい方も、ぜひ参考にしてください。
1. 技術士二次試験とは
1-1. 技術士の概要
技術士とは、科学技術に関する高度な専門的応用能力を持つ技術者に与えられる国家資格です。技術士法に基づき文部科学省が認定し、建設・機械・電気電子など21の技術部門が設けられています。弁護士・医師・公認会計士と並ぶ「五大国家資格」のひとつとも呼ばれ、科学技術系の資格の中では最高峰に位置します。
建設部門は技術士試験の中で最も受験者が多い部門であり、建設コンサルタントや官公庁、ゼネコンなどで活躍する技術者にとって必携の資格となっています。
合格率と難易度
技術士二次試験は非常に難関な試験です。2024年度(令和6年度)の建設部門の筆記試験合格率は9.1%と、2019年の試験制度改正後で初めて10%を下回りました。土質及び基礎の選択科目では合格率がさらに低く、約5〜6%程度と推定されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 建設部門の筆記合格率(2024年度) | 約9.1% |
| 土質及び基礎の筆記合格率(2024年度・推定) | 約5〜6% |
| 二次試験全部門の合格率(2024年度) | 約10.5% |
| 難易度の特徴 | 一次試験合格者・実務経験者のみが受験できる中での合格率のため、実質的な難易度は非常に高い |
技術士取得のメリット・平均年収
技術士(建設部門)を取得すると、さまざまなメリットがあります。厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、技術士の平均年収は約670〜750万円とされており、日本の会社員平均(約430万円)を大きく上回っています。
- 資格手当:月2〜7万円程度(企業によって異なる)
- 入札加点:公共工事の総合評価落札方式で加点評価される
- CPD評価:継続研さんの取り組みが公共工事の評価に反映される
- 独立・開業:建設コンサルタントとして独立する際の大きな武器になる
年代別に見ると、30代での取得で年収500〜700万円、40代では650〜900万円程度が目安とされており、早期取得ほどキャリア上の優位性が長く続きます。
1-2. 受験資格と2026年度の試験日程
受験資格
技術士二次試験を受験するには、以下の2つの条件を満たす必要があります。
✅ 受験資格の条件
条件①:技術士補となる資格を有すること(技術士第一次試験の合格、またはJABEE認定課程の修了)
条件②:以下のいずれかの実務経験を有すること
- 指導技術士の監督のもとで4年超の業務経験(技術士補として)
- 指導技術士の監督のもとで4年超の業務経験(技術士補以外として)
- 独自に7年超の業務経験(指導技術士なし)
※大学院修士課程(理科系統)修了者は実務経験を最大2年短縮できます。
2026年度(令和8年度)の試験日程
| スケジュール | 日程 |
|---|---|
| 受験申込受付(郵送) | 2026年4月1日(水)〜4月15日(水)※消印有効 |
| 受験申込受付(WEB) | 2026年4月1日(水)〜4月14日(火)17:00まで |
| 筆記試験(建設部門) | 2026年7月20日(月・祝) |
| 筆記試験合格発表 | 2026年11月上旬(予定) |
| 口頭試験 | 2026年12月〜2027年1月(東京都のみ) |
| 最終合格発表 | 2027年3月上旬〜中旬(予定) |
※受験手数料:20,500円(2026年1月より改定)。試験地は北海道・宮城・東京・神奈川・新潟・石川・愛知・大阪・広島・香川・福岡・沖縄の12都道府県。
2. 建設部門・土質及び基礎の試験構成
技術士二次試験の筆記試験は、必須科目(Ⅰ)・選択科目(Ⅱ)・選択科目(Ⅲ)の3科目で構成されています。すべて記述式(論文形式)であり、各科目で60%以上の得点が合格の条件です。
| 科 目 | 試験時間 | 出題内容 | 合格基準 |
|---|---|---|---|
| 必須科目(Ⅰ) | 2時間 | 建設分野の技術動向・社会的課題・技術者倫理(2問中1問選択) | 60% 以上 |
| 選択科目(Ⅱ) | 3時間30分 | 土質及び基礎の専門知識・応用能力(Ⅱ-1:4問中2問、Ⅱ-2:2問中1問選択) | 60% 以上 |
| 選択科目(Ⅲ) | 選択科目(Ⅱ)と同一時間 | 土質及び基礎の問題解決・課題遂行能力(2問中1問選択) | 60% 以上 |
2-1. 必須科目(Ⅰ)とは
必須科目(Ⅰ)は、建設部門全体に共通する技術動向・社会的課題・技術者倫理について問う科目です。土質及び基礎に特化した知識ではなく、建設分野全体を俯瞰した論述力が求められます。
頻出テーマと対策ポイント
- インフラ老朽化・維持管理:予防保全・アセットマネジメント・ライフサイクルコスト。「事後保全から予防保全への転換」がキーワード。
- 防災・国土強靱化:レジリエンスの確保・自助・共助・公助の連携・流域治水の考え方。
- 気候変動・カーボンニュートラル:緩和策と適応策の違い・グリーンインフラ・ZEB/ZEH・低炭素型コンクリート。
- 技術者倫理:技術士の3義務2責務・公益確保の責務・コンプライアンス・公益通報。
- 建設DX・i-Construction:BIM/CIM・ICT施工・ドローン測量・3次元設計の概念。
- SDGs・持続可能な社会:17の目標と建設分野の関係・経済・社会・環境の統合的解決。
💡 対策ポイント
国土交通省の白書・施策情報を定期的にチェックしましょう。「最も不適切なものを選べ」形式の設問が多く、各施策の正確な定義や優先順位の理解が重要です。
2-2. 選択科目(Ⅱ)とは
選択科目(Ⅱ)は、土質及び基礎に関する専門知識と応用能力を問う科目です。問題の種類は2種類あり、Ⅱ-1は専門用語・定義・原理の理解を問う問題、Ⅱ-2は具体的な業務場面での応用能力を問う問題です。
頻出テーマと対策ポイント
- 地盤調査:標準貫入試験(N値の意味と利用)・孔内水平載荷試験・スウェーデン式サウンディング・地下水位調査。
- 土の基本的性質:粒度分布・コンシステンシー(液性限界・塑性限界)・含水比・締固め特性・ダルシーの法則。
- 圧密:テルツァーギの圧密理論・圧密沈下量の算定・時間係数・二次圧密。
- せん断強度:モールクーロンの破壊規準・三軸圧縮試験・一軸圧縮試験・直接せん断試験の違い。
- 液状化:液状化の発生メカニズム・FL値による判定・対策工法(サンドコンパクションパイル・グラベルドレーン等)。
- 斜面安定:分割法(フェレニウス法・ビショップ法)・安全率の算定・対策工法(アンカー工・抑止杭等)。
- 基礎工:直接基礎の支持力公式・杭基礎の支持力算定・負の摩擦力・群杭効果。
- 軟弱地盤対策:各種対策工法の特徴(サンドドレーン・真空圧密・深層混合処理等)と適用条件の比較。
- 土留め工:ランキン・クーロンの土圧理論・切梁式土留めの設計・ヒービング・ボイリング・パイピングの判定。
💡 対策ポイント
計算問題も出題されるため、主要な公式を確実に覚えることが重要です。特に支持力・圧密沈下・安全率の計算は頻出です。また工法の選定理由を論理的に説明できるよう、各工法の長所・短所と適用条件を整理しておきましょう。
2-3. 選択科目(Ⅲ)とは
選択科目(Ⅲ)は、社会的課題に対する問題解決能力と課題遂行能力を問う科目です。「なぜその問題が発生しているか」「どう解決するか」「リスクはどう管理するか」という思考プロセスを論文形式で記述します。単なる知識の羅列ではなく、技術者としての判断力・提案力が評価されます。
頻出テーマと対策ポイント
- インフラ老朽化と長寿命化:既存の地盤・基礎構造物の点検・診断・補修・補強の方針と優先順位の設定。
- 大規模地震への対応:液状化・地盤の不均一沈下・斜面崩壊リスクへの対策と事前・事後対応の提案。
- 気候変動への適応:豪雨・洪水・土砂災害の激甚化に対する地盤・基礎分野からのアプローチ。
- 新技術の活用:ICT・AIを活用した地盤調査や施工管理の高度化・効率化と課題。
- 技術の継承と人材育成:熟練技術者の減少に対する技術継承策と若手育成の仕組みづくり。
💡 対策ポイント
「問題提起 → 複数の解決策の提示 → リスクと留意点の整理 → 波及効果の考察」という論文の流れを身につけましょう。日常業務での経験を抽象化して論文に活かすことが合格への近道です。
3. 練習問題で知識を確認しよう
試験の知識確認には、当サイトの練習問題ツールをご活用ください。必須科目(Ⅰ)・選択科目(Ⅱ)・選択科目(Ⅲ)の5択問題をランダムに出題し、即座に正誤と解説を確認できます。
本番試験は記述式(論文形式)ですが、まずは5択問題で各テーマの用語・定義・考え方を正確に理解することが論文作成の基礎固めになります。問題は随時追加予定ですので、繰り返し挑戦してみてください。
4. まとめ
技術士二次試験(建設部門・土質及び基礎)のポイントをまとめます。
- 技術士は科学技術系最高峰の国家資格。建設部門の平均年収は約680〜750万円で、資格手当や入札加点などのメリットも大きい
- 2026年度の筆記試験は7月20日(月・祝)。受験申込は4月1日〜15日(郵送)
- 必須科目(Ⅰ)はインフラ老朽化・防災・技術者倫理・建設DXなどの建設分野全体の社会的課題が頻出
- 選択科目(Ⅱ)は地盤調査・圧密・液状化・斜面安定・基礎工・軟弱地盤対策など土質及び基礎の専門知識
- 選択科目(Ⅲ)は問題解決・課題遂行能力が問われ、論理的な思考と提案力が求められる
- 合格基準は各科目60%以上。まずは練習問題で知識の土台を固めよう
引き続き当サイトでは練習問題の拡充と関連コンテンツの追加を予定しています。2026年度の合格を目指して、一緒に頑張りましょう!
※本記事の試験情報は2026年4月時点のものです。試験の詳細・最新情報は必ず公益社団法人日本技術士会の公式サイト(https://www.engineer.or.jp/)でご確認ください。