入社してから半月。現場や打ち合わせで、学生時代には一度も聞いたことのない言葉が次々に飛び交っていませんか。「切羽(きりは)」「法肩(のりかた)」「バンセン持ってきて」——意味がわからないまま、とりあえずうなずいて乗り切っている。そんな新入社員は決して少なくありません。
土木の用語がやっかいなのは、専門書に載っている正式名称と、現場で実際に使われる呼び方が違うことです。「バックホウ」と図面に書かれていても、現場では「ユンボ」と呼ばれる。この差が、若手を混乱させます。
この記事では、設計と現場の両方で使われる用語を50音順に100語まとめました。ブックマークして、わからない言葉が出てきたらその場で引いてください。
あ行
| 用語 | 意味・使われる場面 |
|---|---|
| RC(鉄筋コンクリート) | Reinforced Concreteの略。鉄筋とコンクリートを組み合わせた構造。図面や仕様書で頻出。 |
| アウトリガ | クレーンなどが転倒しないよう、車体の外側に張り出す支持脚。設置不良は重大事故につながる。 |
| 明かり | トンネル坑内に対して、坑外の部分のこと。「明り掘削」は坑外での掘削作業を指す。 |
| 足場 | 高所作業のために設ける仮設の作業床。枠組足場、単管足場などの種類がある。 |
| アスファルト | 原油に含まれる炭化水素のうち最も重質なもの。道路の舗装材料として使用される。 |
| 当たり計算 | おおよその見当(あたり)をつけるためのざっくりした概算のこと。詳細計算の前段階で行う。 |
| アバット(橋台) | 橋の両端部を支える基礎構造物。中間を支える「橋脚(ピア)」と対で覚える。 |
| アンカー | 地中や構造物に打ち込み、引張力を受け持つ部材。「錨(いかり)」が語源。 |
| 暗渠(あんきょ) | 地中に埋設された水路。地表に開いた水路(開渠)の対義語。 |
| 安全帯 | 墜落防止用の保護具。現在は「墜落制止用器具(フルハーネス型)」への移行が進んでいる。 |
| 安全率 | 構造物や斜面が、どの程度余裕を持って安定しているかを示す指数。 |
| 異形鉄筋 | 表面にリブや節がある鉄筋。コンクリートとの付着を高める。対義語は「丸鋼」。 |
| 一次下請け・二次下請け | 元請から直接契約するのが一次下請け、そこからさらに契約するのが二次下請け。施工体系図で確認する。 |
| インバート | トンネル断面の底面部に設ける逆アーチ状の構造。地盤の押し上げに抵抗する。 |
| 打込み | 生コンクリートを型枠内に流し込む作業。「打設(だせつ)」とも呼ばれる。 |
| 打継ぎ | すでに硬化したコンクリートに、新しいコンクリートを継ぎ足すこと。継目の処理が品質を左右する。 |
| 裏込め | 擁壁などの背面に、砂利や割栗石を詰めること。排水と土圧軽減が目的。 |
| 液状化 | 地震により、水で飽和した砂地盤が液体のように振る舞う現象。 |
| 塩害 | 塩化物イオンにより鉄筋が腐食し、コンクリート構造物が劣化する現象。沿岸部で特に注意。 |
| 縁石(えんせき) | 歩道と車道の境界などに設置するコンクリートブロック。 |
| エーバリ | A型バリケードの略称。現場で交通規制や立入禁止を示すために設置する。 |
| エラスタイト | コンクリート構造物の伸縮目地に用いる目地材。通称「エラス」。 |
| オーバーレイ | 既設の舗装の上に、新しい舗装を重ねる補修工法。 |
| i-Construction | 国土交通省が2016年から進める建設現場の生産性向上施策。2024年4月には「i-Construction 2.0」が策定され、2040年度までに省人化3割・生産性1.5倍を目標としている。 |
か行
| 用語 | 意味・使われる場面 |
|---|---|
| 開削工法 | 地表から掘り下げて構造物を作り、埋め戻す工法。オープンカット工法とも呼ばれる。 |
| 開水路 | 用水路のように、自由水面を持つ水路。管水路の対義語。 |
| 河川区域 | 河川法により、河川として管理される区域。工事には許可が必要。 |
| 型枠 | コンクリートが硬化するまで所定の形状を保持する仮設の枠。合板製は「コンパネ」と呼ばれる。 |
| かぶり(かぶり厚さ) | 鉄筋の表面からコンクリート表面までの最短距離。耐久性・耐火性を左右する重要な数値。 |
| 仮締め切り | 水中や水際で施工するため、一時的に水を遮断する仮設構造物。 |
| 下端(かたん・したば) | 部材の下側の面。天端(てんば)の対義語。図面では「下端筋」などと使う。 |
| 概略設計 | 設計の初期段階で、複数の工法や構造形式を比較検討し、最適案を絞り込む業務。 |
| 管渠(かんきょ) | 開渠と暗渠を合わせた総称。下水道分野でよく使われる。 |
| 供試体(きょうしたい) | 試験のために成型したコンクリートなどのサンプル。圧縮強度試験に用いる。 |
| 切羽(きりは) | トンネル掘削の最先端部分。最も危険度が高く、切羽監視が義務付けられている。 |
| 切梁(きりばり) | 山留めにおいて、腹起こしを支える水平方向の部材。 |
| グラウト | セメントミルクや薬液を隙間に注入すること。またはその注入材。 |
| 栗石(ぐりいし) | 10〜15cm程度の丸みを帯びた石。「ぐり」とも略される。 |
| クリティカルパス | 工程管理において、余裕がゼロの最長経路。この工程が遅れると全体工期が遅れる。 |
| 鋼管杭 | 鋼管を用いた基礎杭。支持力が高く、施工実績も豊富。 |
| コールドジョイント | 先に打ったコンクリートが固まってから次を打設したため、一体化しなかった継目。品質不良の代表例。 |
| 護岸 | 洪水や波浪から堤防や河岸を守るための施設。 |
| 工程管理 | 工事が計画どおりの日程で進んでいるかを管理する業務。施工管理の四大管理の一つ。 |
| ガラ | コンクリート片や解体材などの廃材の俗称。「ガラを積む」などと使う。 |
さ行
| 用語 | 意味・使われる場面 |
|---|---|
| 載荷試験 | 試験荷重をかけ、荷重と変位の関係から地盤や杭の支持力を求める試験。 |
| 差筋(さしきん) | コンクリートの打ち継ぎ時に、穿孔して差し込む鉄筋。 |
| JV | Joint Ventureの略。複数の建設会社が共同で工事を受注する建設共同企業体。 |
| 支保工(しほこう) | 荷重を支えるための仮設構造物。型枠支保工、トンネル支保工などがある。 |
| シートパイル | 鋼矢板のこと。土留めや仮締め切りに用いる。 |
| 新規入場者教育届け | 現場に初めて入る作業員に対し、安全教育を実施したことを記録・提出する書類。 |
| 修正設計 | 現地条件の変更などにより、既に完了した設計内容を修正する業務。 |
| 詳細設計 | 予備設計で決まった構造を、施工可能なレベルまで詳細に設計する業務。図面・数量計算書を作成する。 |
| ジャンカ | コンクリート表面にできる、砂利が露出したあばた状の欠陥。「豆板(まめいた)」とも呼ばれる。 |
| 伸縮目地 | 温度変化による膨張収縮に対応し、ひび割れを防ぐために設ける目地。 |
| スターラップ | 主鉄筋を囲むように配置するせん断補強筋。「あばら筋」「肋筋」とも呼ばれる。 |
| 捨てコン | 基礎の底面を平らにするために打設する、低強度のコンクリート。墨出しの下地にもなる。 |
| スペーサー | 鉄筋を組み立てる際、所定のかぶりを確保するために取り付ける部材。 |
| 墨出し | 図面の寸法をもとに、構造物の位置や中心線を現場に印す作業。 |
| 洗掘(せんくつ) | 流水や波浪により、岸辺や河床の土砂が洗い流される現象。 |
| 側圧 | 土留め壁に作用する土圧と水圧の和。型枠に作用するコンクリート圧を指す場合もある。 |
| 産業廃棄物(産廃) | 事業活動により生じた廃棄物。マニフェスト(管理票)による適正処理が義務付けられている。 |
た行
| 用語 | 意味・使われる場面 |
|---|---|
| 段取り | 工事を円滑に進めるための事前準備。「段取り八分」と言われるほど重要。 |
| 継手(つぎて) | 鉄筋や鋼材を接合する部分。重ね継手、ガス圧接継手などの種類がある。 |
| 凍害 | コンクリート中の水分が凍結・融解を繰り返すことで生じる劣化現象。寒冷地で注意。 |
| 都計(とけい) | 都市計画道路の略称。「都計線」といえば都市計画で定められた道路の境界線を指す。 |
| 天端(てんば) | 構造物や盛土の上面のこと。「天端高さ」は最も基本的な管理項目。 |
| 電子納品 | 工事や業務の成果品を、電子データで納品する仕組み。工事写真は国土交通省「デジタル写真管理情報基準」に従う必要がある。 |
| 出来形(できがた) | 施工が完了した部分の形状・寸法のこと。設計値どおりかを確認するのが「出来形管理」。 |
| 直接基礎 | 良好な地盤に直接構造物を支持させる基礎形式。杭基礎の対義語。 |
| トータルステーション(TS) | 角度と距離を同時に測定できる測量機器。現場測量の主力。 |
| 特記仕様書 | その工事固有の条件を定めた仕様書。共通仕様書より優先される。 |
| 土留め | 掘削時に周囲の土が崩れないよう設ける仮設構造物。「山留め」とほぼ同義。 |
| 床掘(とこぼり) | 構造物の基礎を作るために地盤を掘削すること。 |
| 鳶(とび) | 足場の組立解体や鉄骨建方を専門とする職種。「とび職」。 |
な行
| 用語 | 意味・使われる場面 |
|---|---|
| 生コン | レディーミクストコンクリートの通称。工場で製造し、アジテータ車で現場へ運搬する。 |
| 軟弱地盤 | 構造物を支えるのに十分な強度を持たない地盤。地盤改良が必要になる。 |
| ネコ | 一輪車のこと。「ネコ車」とも呼ばれる。狭い場所での運搬に使う。 |
| 布基礎 | 帯状に連続した基礎形式。 |
| 根切り | 基礎を作るために地盤を掘削すること。床掘とほぼ同義。 |
| 根固め | 河床や海岸の基礎部分を、ブロックなどで保護すること。洗掘防止が目的。 |
| ノギス | 厚さ・外径・内径を精密に測定する測定器具。 |
| 法面(のりめん) | 切土や盛土によってできた人工的な斜面。 |
| 法肩(のりかた) | 法面の最上端部分。最下端は「法尻(のりじり)」または「法先」と呼ぶ。 |
は行
| 用語 | 意味・使われる場面 |
|---|---|
| バーチャート | 横棒(バー)で各作業の期間を表した工程表。最も一般的な工程管理手法。 |
| ハイテンションボルト | 高張力鋼製の接合用ボルト。略して「ハイテン」「高力ボルト」とも呼ばれる。 |
| バックホウ | 手前に引き寄せる形で掘削する建設機械。現場では「ユンボ」とも呼ばれる。 |
| バンセン | 番線のこと。資材の結束に使う、なまし鉄線。「#8(はちばん)のバンセン」などと指定する。 |
| ハンチ | 部材の接合部を補強するために設ける、三角形状の断面拡大部。 |
| BIM/CIM | 3次元モデルを活用して設計から維持管理までの情報を一元化する取り組み。国土交通省の直轄土木業務・工事では、令和5年度(2023年度)から原則適用が始まっている。 |
| 品質管理 | コンクリート強度や締固め度など、構造物の品質を確保するための管理業務。 |
や行
| 用語 | 意味・使われる場面 |
|---|---|
| 矢板(やいた) | 土留めに使用する板状の部材。鋼製のものが鋼矢板(シートパイル)。 |
| 山留め | 掘削時に地盤の崩壊を防ぐこと、またはその構造物。 |
| ユニック | 荷台に小型クレーンを搭載したトラック。もとは製品名だが一般名詞化している。 |
| 予備設計 | 概略設計で絞り込まれた案について、構造形式や主要寸法を決定する業務。 |
ら行・わ行
| 用語 | 意味・使われる場面 |
|---|---|
| 輪荷重(りんかじゅう) | 車輪のタイヤを通じて路面に加わる鉛直荷重。舗装や橋梁の設計荷重として用いる。 |
| 労災 | 労働災害の略。建設業は他産業と比べて発生率が高く、年間を通じた安全管理が不可欠。 |
| 路床(ろしょう) | 舗装を支持する地盤で、路盤の下の厚さ約1mの範囲。 |
| 路盤(ろばん) | 舗装の表層・基層と、路床との間にある層。 |
| ワーカビリティー | フレッシュコンクリートの作業のしやすさを示す指標。 |
| 枠組足場 | 既製の建枠を組み合わせて構築する足場。最も普及している足場形式。 |
新入社員がやりがちな失敗パターン
失敗例1:わからない言葉をその場で確認せず、後から困る
「かぶり」を聞き流したまま配筋検査に立ち会い、指摘事項の意味が理解できずに議事録が書けなかった、というケース。専門用語は最初の1回で覚えるのが結局は近道です。失敗例2:正式名称と現場での呼び方を結び付けられていない
図面には「バックホウ」、現場では「ユンボ」。「鋼矢板」と「シートパイル」も同じものです。両方をセットで覚えておかないと、指示を取り違えます。失敗例3:似た用語を混同する
「共通仕様書」と「特記仕様書」、「概略設計」と「予備設計」など、対になる用語の違いは頻繁に問われます。どちらが優先されるか、どの段階の業務かまで理解しておきましょう。失敗例4:読み方を間違えて覚える
「法肩(のりかた)」を「ほうかた」、「切羽(きりは)」を「せっぱ」と読んでしまう例は非常に多いです。読み間違いは電話でのやり取りで致命的になります。
用語を覚えたら、次は「計算」に進もう
用語の意味がわかるようになると、次にぶつかるのが設計計算です。特にフィレット溶接の強度計算は、若手技術者がつまずきやすいポイントの一つ。のど厚の考え方から計算例まで、当サイトの記事とツールを活用してみてください。
また、工程管理の基本となるバーチャート工程表も、実際に手を動かして作ってみるのが理解への近道です。
まとめ
土木の用語は、正式名称・現場での呼び方・制度用語という3つの層で成り立っています。入社半月というタイミングは、この3つが一気に押し寄せてくる時期です。
すべてを一度に覚える必要はありません。この記事をブックマークしておき、現場で聞き慣れない言葉が出てきたらその都度引く。それを繰り返すうちに、自然と自分の言葉として使えるようになります。わからないことを放置しないことが、若手技術者として信頼を得る第一歩です。