バーチャート工程表の書き方 工種の並べ方と出水期の入れ方【土木】

「来週までに工程表を出して」と言われて、エクセルを開いたものの手が止まる。工種をどこまで細かく書けばいいのか、出水期はどう表せばいいのか、そもそもどこから手をつければいいのか——。

バーチャート工程表の書き方には決まった手順があります。この記事では、工期の確定から工種の並べ方、土木特有の休工期間の織り込み方までを5ステップで整理します。道路改良・河川護岸などの並べ方の実例も載せているので、そのまま自分の工事に当てはめて使ってください。

「手順は後で読むから、まず作り始めたい」という方はこちらからどうぞ。エクセル不要、インストール不要、無料です。

バーチャート工程表とは

バーチャート工程表は、縦軸に工種、横軸に時間をとり、各工種の作業期間を横棒(バー)で表す工程表です。横線式工程表とも呼ばれます。

公共工事では、受注者は工事着手前に施工計画書を提出することとされており、土木工事共通仕様書ではその記載事項のひとつとして計画工程表が挙げられています。単に「工程表を出して」と言われた場合、まず求められているのはこのバーチャートだと考えて間違いありません。

ガントチャートやネットワーク式との違いを整理しておきたい方は、工程表の種類と使い分け|土木工事で使う5種類をあわせてご覧ください。

バーチャート工程表の書き方 5ステップ

作業の全体像はこの5つです。順番を飛ばすと必ず作り直しになるので、上から順に進めてください。

手順やることつまずきやすい点
STEP1工期と実働日数を確定する暦日と実働日を混同する
STEP2工種を洗い出して施工順に並べる準備工・仮設工の抜け
STEP3各工種の所要日数を見積もる養生期間・調達期間の未計上
STEP4休工期間を織り込む出水期・積雪期の考慮漏れ
STEP5バーを引き、進捗管理欄を用意する更新されず形骸化する

STEP1 工期と実働日数を確定する

最初にやるのは、バーを引くことではなく日数を数えることです。契約工期がそのまま作業できる日数ではありません。

たとえば工期が6か月(約180日)でも、実際に作業できるのは半分程度ということが珍しくありません。差し引くべき要素を先に洗い出します。

差し引く要素目安備考
日曜・祝日月に4〜6日週休2日制工事なら土曜も
雨天・荒天による中止月に3〜6日地域と時期で変動
年末年始・お盆年に10〜14日協力業者の休みも確認
準備期間・後片付け期間各5〜10日着工直後と完成前
出水期・積雪期工事内容によるSTEP4で詳述

降雨日数は、気象庁の過去データでその地域の月別降水日数を確認すると精度が上がります。「なんとなく余裕を見る」より、根拠のある日数で組んだほうが、遅延が起きたときに発注者へ説明しやすくなります。

STEP2 工種を洗い出して施工順に並べる

設計図書の数量総括表を見ながら工種を書き出し、工事の流れどおりに上から下へ並べます。大分類(土工・構造物工など)の下に小分類(掘削工・盛土工など)をぶら下げる階層構成にすると、工事全体の構成が読み取りやすくなります。

工種の並べ方の例

工事種別並べ方の例
道路改良工事準備工 → 土工(伐開除根・掘削工・路体盛土工・路床盛土工) → 構造物工(函渠工・擁壁工) → 舗装工(下層路盤工・上層路盤工・基層工・表層工) → 付帯工(防護柵工・区画線工) → 後片付け
河川護岸工事準備工 → 仮設工(仮締切工・排水工) → 土工(掘削工・法面整形工) → 基礎工 → 護岸工(ブロック積工・張工) → 天端工 → 撤去・後片付け
下水道管渠工事準備工 → 仮設工(土留工・路面覆工) → 掘削工 → 管布設工 → 基礎工・埋戻工 → マンホール工 → 舗装復旧工 → 後片付け

並行して進む作業は、日数の短いほうを上に置くとバーを引きやすくなります。また、細かく分けすぎると行数が増えて読みにくくなるため、1枚に収まる範囲で15〜30行程度を目安にすると扱いやすいです。

忘れがちな行

  • 準備工(測量・丁張・仮設事務所・材料搬入)
  • 仮設工(仮設道路・仮囲い・仮排水)
  • 支障物件の移設(電柱・水道管・ガス管の移設調整)
  • 段階確認・立会・検査
  • 後片付け・completion前の清掃

特に支障物件の移設は、関係機関との協議が入るため自社ではコントロールできません。着工前から動き出す前提で、工程表の一番上に置いておくのが安全です。

STEP3 各工種の所要日数を見積もる

所要日数は「数量 ÷ 1日あたりの施工量」で算出します。1日あたりの施工量は、積算資料の歩掛や社内の過去実績から拾います。

ここで見落としやすいのが、作業していないのに日数を消費する期間です。

見落としやすい期間日数の目安
コンクリートの養生期間3〜7日(時期・部位による)
型枠存置期間数日〜(強度確認まで)
プレキャスト製品の製作・納期2週間〜数か月
特殊材料・鋼製品の手配1〜3か月
段階確認の日程調整数日
盛土の沈下待ち・地盤改良の養生工法による

資材の発注から搬入までの期間は、工程表に「発注」「搬入」の行を設けて明示しておくと、後から「頼み忘れた」という事故を防げます。

STEP4 出水期・積雪期を織り込む

ここが土木工事の工程表でもっとも特徴的な部分であり、若手がいちばん躓くところでもあります。

出水期

河川工事では、おおむね6〜10月が出水期とされ、この期間は河川内での工事ができません(具体的な期間は河川管理者や工事ごとの特記仕様書で定められるため、必ず確認してください)。

出水期をまたぐ工事では、次のいずれかの組み方になります。

  • 非出水期に集中させる:11〜5月に河川内作業をすべて収める
  • 出水期は陸上作業に充てる:堤内地側の作業、材料製作、仮設撤去などを配置
  • 出水期を休工とする:工程表上で明確に休工期間として表示

重要なのは、出水期前に仮締切を必ず撤去し、河積を確保した状態にしておくことです。この撤去作業の日数を工程表に入れ忘れると、出水期直前に慌てることになります。

積雪期

積雪地域では、冬期の土工・舗装工が実質的に不可能になります。アスファルト舗装は気温が低いと締固めが効かず、盛土も凍結した材料では所定の締固め度が出ません。

土工・舗装工は冬期を避けて前後にずらし、冬期には構造物の型枠・鉄筋作業や、屋内でできる作業を配置します。

工程表での表し方

休工期間は、該当する月の列に色を付けたり網掛けにしたりして、ひと目で分かるようにします。「なぜこの期間が空いているのか」を発注者に説明する材料にもなるため、必ず明示してください。

STEP5 バーを引き、進捗管理欄を用意する

ここまで整理できていれば、あとはバーを引くだけです。

時間軸の目盛りは工期の長さで決めます。数か月〜1年程度の工事なら月を上旬・中旬・下旬の3区分にする「旬単位」が扱いやすく、日単位ほど細かすぎず、月単位ほど粗くない、ちょうどいい精度になります。

工期目盛り
〜1か月程度日単位
2か月〜1年程度旬単位(上旬・中旬・下旬)
1年以上月単位

実績を記録する場合は、計画バーを実線、実績バーを破線にするなど線種で区別します。あわせて工種ごとの月別進捗率(出来高%)を記入できる行を設けておくと、予定との差を数値で把握できます。

表題部に入れる項目

  • 工事名
  • 工期(着手日・完成日)
  • 作成者(会社名・現場代理人名)
  • 作成日(変更工程表の場合は版数も)

よくある失敗パターン

失敗① 契約工期をそのまま実働日数として組んだ
日曜・雨天・年末年始を差し引くと、実際に作業できる日数は工期の半分程度になることもあります。STEP1で必ず実働日数を数えてください。

失敗② 出水期前の仮締切撤去を入れ忘れた
河川工事で最も多い失敗です。撤去にも日数がかかることを前提に、出水期の入りから逆算して工程を組みましょう。

失敗③ プレキャスト製品の納期を見ていない
製作に数か月かかる製品もあります。着工後に発注すると、その時点で工程が破綻します。設計図書を確認したら、まず納期を製作者に問い合わせてください。

失敗④ 完成日ぴったりで組んだ
手直し、清掃、書類整理、完成検査の指摘対応の時間がありません。完成日の1〜2週間前には現場作業が終わる工程にしておきます。

失敗⑤ 提出したきり更新していない
工程表は進捗に合わせて更新してこそ意味があります。月1回は実績を記入し、ズレが出たら早い段階で対策を打ちましょう。なお当初工程表は上書きせず、変更工程表を別に作成するのが基本です。

エクセル不要で工程表を作る

手順が分かっても、エクセルでセル結合と罫線と格闘する時間はかかります。当サイトの「バーチャート工程表作成ツール」なら、ブラウザ上でマスをクリック&ドラッグするだけで工程バーを引けます。

  • 月を上旬・中旬・下旬の3区分で管理。土木の工程表に必要な精度でそのまま使える
  • 大分類・小分類の階層構成に対応。STEP2の並べ方をそのまま反映できる
  • 月見出しをクリックすると休工月を赤く表示。出水期・積雪期を明示できる
  • 工種ごとの月別進捗率を入力可能。実線/破線で計画と実績を区別できる
  • A4横/A3横で印刷。施工計画書への添付にそのまま使える
  • データはサーバーに送信されず、JSONで手元に保存。続きから編集できる

操作は4ステップです。

  1. 開始・終了の年月を選び、工事名と作成者を入力する
  2. 大分類・小分類の行を追加し、工種名を記入する
  3. マスをクリック/ドラッグして工程バーを引く
  4. 用紙サイズ(A4横/A3横)を選んで印刷、またはJSONで保存する

よくある質問

Q1. 工種はどこまで細かく書けばいい?

基本は数量総括表の工種区分に合わせます。細かすぎると読みにくくなり、粗すぎると進捗が管理できません。1枚に収まる15〜30行程度を目安に、進捗を確認したい単位で区切るとちょうどよくなります。

Q2. 用紙はA4とA3のどちらがいい?

工期が長く工種が多い場合はA3横が読みやすく、小規模工事や書類に綴じる場合はA4横が扱いやすいです。発注者から指定がある場合もあるので、事前に確認しておくと安心です。

Q3. 実施工程表と計画工程表は違うもの?

呼び方は発注機関によって異なりますが、一般には着手前に提出するものを計画工程表、実際の進捗を記入して管理するものを実施工程表と呼び分けます。様式は同じバーチャートで問題ありません。

Q4. 工程が遅れたときはどうする?

当初工程表は残したまま、変更工程表を新たに作成します。当初と変更を並べることで、どこで何日遅れ、どう挽回するのかを発注者に説明できます。上書きしてしまうと経緯が追えなくなるので注意してください。

まとめ

バーチャート工程表の書き方は、次の順番で進めれば迷いません。

  1. 実働日数を数える(契約工期=作業可能日数ではない)
  2. 工種を洗い出して施工順に並べる(準備工・仮設工・支障物移設を忘れない)
  3. 所要日数を見積もる(養生・納期など「作業していない期間」も計上)
  4. 出水期・積雪期を織り込む(仮締切の撤去日数まで含めて逆算)
  5. バーを引き、進捗欄を用意する(旬単位が使いやすい)

工程表づくりは事務作業ではなく、現場をどう回すかを設計する作業です。ここで抜けを潰しておくほど、着工後が楽になります。

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※本記事は一般的な考え方を整理したものです。出水期の期間や工程表の様式は発注機関・工事ごとに異なるため、実際の工事では特記仕様書および監督職員の指示を必ず確認してください。

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