ヤング係数(弾性係数)は、材料の変形しにくさ=硬さの指標です。結論から言うと、鋼材は約2.0×10⁵N/mm²でほぼ一定、コンクリートは強度によって変わるのが大きな特徴です。この記事では、ヤング係数の意味と代表的な値、設計で使うヤング係数比・ポアソン比までを整理します。
ヤング係数とは
ヤング係数 E は、材料に力を加えたときの応力σとひずみεの比で、σ = E × ε の関係で表されます。同じ力を加えても、Eが大きい材料ほど変形(ひずみ)が小さく、変形しにくいということです。単位は応力と同じ N/mm²(=MPa)で、部材のたわみや変位を計算するときに欠かせない値です。
鋼材のヤング係数
鋼材のヤング係数は、鋼種によらず約2.0×10⁵N/mm²(=200kN/mm²=約205GPa)でほぼ一定です。鉄筋もほぼ同じ値を用います。強度(降伏点)はSS400やSM490などで異なりますが、「変形しにくさ」を表すヤング係数は共通、という点がRC・鋼構造の設計を考えるうえで重要です。
コンクリートのヤング係数
コンクリートのヤング係数は鋼材とは違い、設計基準強度(fck)が高いほど大きくなります。おおよそ2〜3×10⁴N/mm²程度で、鋼のおよそ10分の1です。示方書では設計基準強度に応じた値が定められているため、実際の設計では強度ごとの規定値を使います(具体的な数値は下のデータページを参照)。
ヤング係数比(n)とは
鉄筋コンクリート(RC)の設計では、鋼とコンクリートのヤング係数の比n = Es/Ec を使います。道路橋示方書ではこのヤング係数比 n=15を用いるのが基本です。これは「鉄筋はコンクリートの15倍変形しにくい」と見なして、両者が一体で働くRC断面の応力を計算するための便利な数値です。
ポアソン比もあわせて押さえる
材料特性値では、ヤング係数とセットでポアソン比も使います。ポアソン比は、材料を押し縮めたときに横に膨らむ度合いを表す値で、コンクリートは約0.2、鋼は約0.3が代表値です。応力解析や断面の変形計算で必要になります。
混同しやすいポイント
- ヤング係数(材料の弾性係数)と、地盤の変形係数E₀は別物です。前者はコンクリートや鋼など材料の値、後者は地盤の硬さを表す値です。
- ヤング係数(変形しにくさ)と、強度(壊れにくさ)は別の性質。鋼はヤング係数が共通でも、鋼種で強度は異なります。
コンクリート・鋼・アルミのヤング係数・単位体積重量・ポアソン比をまとめて確認
材料特性値の一覧を見る ▶ヤング係数を使った計算イメージ
ヤング係数は、応力とひずみ、そして変形量を結ぶ値です。たとえば断面積10cm²(=1,000mm²)の鋼棒に100kN(=100,000N)の引張力が作用すると、応力度は 100,000 ÷ 1,000 = 100N/mm²。ひずみは σ÷E = 100 ÷ 200,000 = 0.0005(0.05%)です。棒の長さが2mなら、伸びは 2,000mm × 0.0005 = 1.0mm となります。このように、ヤング係数が分かれば部材の伸び縮みやたわみを定量的に求められます。
よくある質問(FAQ)
Q. 鋼材のヤング係数はいくつですか?
A. 鋼種によらず約2.0×10⁵N/mm²(=約205GPa)です。鉄筋もほぼ同じ値を使います。
Q. コンクリートのヤング係数は?
A. 設計基準強度によって変わり、おおよそ2〜3×10⁴N/mm²(鋼の約1/10)です。強度ごとの規定値はデータページで確認できます。
Q. ヤング係数比n=15とは?
A. 鋼とコンクリートのヤング係数の比(Es÷Ec)で、RC断面の応力計算に使います。道路橋示方書ではn=15を基本とします。
まとめ
ヤング係数は材料の変形しにくさを表す値で、「鋼は約2.0×10⁵N/mm²で一定、コンクリートは強度で変わる」が要点です。RC設計ではヤング係数比n=15、ポアソン比はコンクリート0.2・鋼0.3を使います。強度ごとの具体的な数値は、下の材料特性値データページで確認してください。
参考:日本道路協会『道路橋示方書・同解説』、コンクリート標準示方書。鋼材のヤング係数2.0×10⁵N/mm²、ヤング係数比n=15、ポアソン比(コンクリート0.2・鋼0.3)は各示方書に基づきます。実設計では最新版の規定値を確認してください。